ただの相談役 気まぐれブログ
運
201103.31
こんにちは「住宅プランナー」のガマです。
三十歳前の頃、まだ独身で、週に1~2回
出勤前にモーニングを食べに行っていた喫茶店があった。
路地裏の民家の表だけを改築した小さな喫茶店で、
カウンターの隅が私の指定席のようになっていて、
私は新聞を読みながら食事を済ますと、
サッサと店を出る無愛想な客だった。
なのに、ある日を境に
モーニングのサンドウィチの数が増え始めた。
前後に注文したお客より確実に多いのだ。
私はママに確かめずにはいられなかった。
「オタクが朝来ると、その日一日よく流行るのよ。
オタクは運を持っているようよ」
ママは笑って答えてくれた。
「じゃぁ、あのサンドウィチはお賽銭みたいなものですか?」
「というよりお稲荷さんの油揚げみたいなものかなぁ」
そのママからもう一つ言われたことがあった。
「オタク、苦労が身に付かない顔をしているわねぇ」
六十歳になってみて、納得できる言葉であった。
執筆者:中井勝人