ただの相談役 気まぐれブログ
35年のローンを組んでも、建てて良かったユーリンの家。
ユーリン・ホームのガマはガマでもワガママのガマです。
昨日に続けて「職人衆昔ばなし」から
昔の職人気質を伝える話をピック・アップします。
「二代目源さん組子噺」から・・・・・・。
変り者ぞろいの中でも変り者はまげし屋のタカちゃんで、(略)
近所に甲斐絹の問屋の主人で、金があるから普請道楽の
注文のうるさい旦那がいたんですが、
「組子の出来る腕の良い職人を一人寄越してくれろ」
というので行ったのがタカちゃんなんです。
「前に東京から職人を呼んでこういうのを作らせた。気に入っているんだが、
これとソックリなものをもう一つ欲しい。お前に出来るか」
「ヤ、それはムツかしいですね」
「そうだろう。出来ないか?」
「マ、ムツかしいけど。一生懸命やってみましょう」
ということで、タカちゃんは、
「ムツかしいムツかしい」
と言いながら仕事を終わって帰って来たんだそうですが、帰ってからも
「今日の仕事はムツかしかった」
と言っているので、おやじが、
「その、見本の組子っていうのは、そんなにうまい仕事だったのかい」
(略)
「イヤ、うまい仕事をマネるのは、それほどホネじゃァないけれど、
ヘタな仕事をそっくりマネるということは、まことにムツかしいもんですねぇ」
(略)聞くと、組子の微妙なユガミひずみから、仕上がりの汚さまで、
チクイチ気を入れてそっくり写して仕上げて来た、と言ったそうです。
こんな職人の逸話は読んでいて飽きません。
腕のある職人は
プライドが高いだけに
皮肉屋でもあります。
職人の持つそんな独特の思考回路が
私は好きです。
眼深にハンチング帽をかぶり
革ジャンを羽織って
ニッカーポッカーに長靴という姿で
私を抱き上げようと近づいてくる
祖父の喜三郎の笑顔を思い出します。
幼い頃の私には優しいばっかりの人でしたが
「クチャクチャ、クチャクチャ口の中で噛んで
ペッペッペッと吐き出すように怒られた」と
追い回しの大工だった中川の小父さんが
大きくなった私に話してくれたことがありました。
喜三郎さんはソウトウ皮肉屋であったようです。
左の写真は
図説建築用語辞典
実教出版株式会社より
転用しました。