ただの相談役　気まぐれブログ

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『「火附盗賊改」の正体――幕府と盗賊の三百年戦争（丹野顯　著・集英社新書）』

読了しました。

火盗改といえば思い浮かべるのは長谷川平蔵で
池波正太郎さんの鬼兵犯科帳の世界です。

鬼平犯科帳は文庫本で全巻読みました。

テレビドラマでは四代目鬼平の中村吉右衛門さんの
お父さんの松本幸四郎さんが最初に鬼兵を演じられ
長谷川平蔵というば松本幸四郎さんの印象です。

しかし　『正体』の本を読むと
長谷川平蔵は田沼意次と親近性があったということで
時の老中・松平正信から理不尽な嫌悪感を懐かれて
火盗改以上の出世を妨げられていたようでした。

当時は盗人の放火による火災が多く
盗人は火事騒ぎの間に盗み働きをします。

平蔵は火事が発生すると何か所にも
「火盗改」の高張提灯を掲げさせて
犯罪と混乱を未然に防ごうとしました。

しかし　その行為が

『人が提灯を三十張拵え候えば、
自分（鬼平）は五十も六十も拵えよし。
甚ださえ過ぎた事をいたし申し候人ゆえ、
あぶなきと申し候ものも御座候よし』

などと悪意のある報告になり
松平定信には「山師」「姦物」「術者」と
嫌われ続けたらしいのです。

長谷川平蔵宣以（のぶため）の
溜息が聞こえるようです。　

「すまじきものは宮仕え」