ただの相談役 気まぐれブログ
斑(ブチ)猫
202202.22
大切で大事な家の診療所
倉敷茶屋町ユーリン・ホーム。
まっくろけの猫が二疋、
なやましいよるの屋根のうえで、
ぴんとたてた尻尾のさきから、
糸のようなみかづきがかすんでゐる。
『おわあ、こんばんは』
『おわあ、こんばんわ』
『おぎゃあ、おぎゃあ、おぎゃあ』
『おわああ、ここの家の主人は病気です』
朔太郎いうところの
黒猫ではなかったが
白黒と白茶の斑(ブチ)猫が二疋
隣家の平屋の屋根で
二昼夜鳴き続けていた。
その声の
『みゃあご みゃあご』と
うるさくなやましさに
隣りの二階屋の主人は
病気になりそうだった。
昨日は午前中 奥さんと
『ゆめタウン』に食料品などの
一週間分の買い出しに出かけた。
「これ買ってもいい?」
珍しく奥さんの方から
ねだってきた。
しっかりと裏地の入った
トップスだ。
温かそうだった。
帰宅すると
何時になく神妙な表情で
タントが足元から離れなかった。
こんな時は留守中に
タントは何か悪さを
していることが多い。
『わんわおお
ここの家の主人は疑い深いです』
執筆者:中井勝人