ただの相談役 気まぐれブログ

フジコさんの木彫りの寅
202501.29

手間暇かける家造り
家の町医者ユーリン・ホーム。

2階の納戸を片付けて
何にも無くなった中で
小さな窓枠の框(かまち)に
ぽつんと木彫りの寅が残っていた。

私の母方の祖母のフジコさんが
寅年の私のために成人になってから
知り合いに彫ってもらった木彫りだった。

頭部の大きな姿が何故か
余り好みでは無かった。

といって捨てるわけにもいかず
京都から持って来て
引っ越しの度に
いつも家のどこか
目立たない所に置いてあった。

今の家に
奥さんと住むようになってからは
2階の納戸の窓の框が
寅の置き場所になっていた。

納戸の小物を片付けてくれた奥さんも
何故かこの寅だけは手を付けなかった。

フジコさんの持つ
犯してはならない不可触感だろうか。

私はフジコさんが40歳の時の初孫だった。

母は実家の離れで
結核の療養をしていて
母乳もやれない状態だった。

「あの娘(こ)の食器や洗濯物は
すぐに煮沸して
母屋に持って入るな」

祖父のトラミチは私のために
孕んだメスのヤギまで
探し求めてきたそうな。

祖父は母に私を近づけず
抱かせなかったという。

乳飲み子の私を育ててくれたのは
フジコさんだった。

フジコさんは観劇に食事会にと
私を連れ歩いて溺愛した。

その感情は祖母か亡くなるまで
続いていたと思う。

大学生活を東京で送っていた私は
帰省の度に高槻のフジコさんの家に立寄り
一晩を過ごしてから
京都に帰ったものだ。

私と一緒に食べるために
いそいそと買い物に出かけ
買ってきた食材で好物を
料理してくれたフジコさん。

昨日は
木彫りの寅にフジコさんを
偲んだ一日であった。



執筆者:中井勝人
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