ただの相談役 気まぐれブログ
35年のローンを組んでも、建てて良かったユーリンの家。
ユーリン・ホームのガマはガマでもワガママのガマです。
「職人衆昔ばなし」の「茂作老瓦談義」の章は
昨日
瓦屋の越智さんが帰られた後で会社で読みましたが
本格的には昨日の夕食後から
「昔ばなし」を読み始めました。
「大寅道具ばなし」が最初の章でした。
本名・味方寅治
大工の寅治で大寅。
大寅さんのお父さんは喜三郎で大喜。
(株)大喜工務店を興した私の祖父も
中井喜三郎で大喜と呼ばれていました。
それはさて置き
大寅さんの「昔ばなし」がすごかった。
少し長くなりますが書き写します。
あたしは十六から仕事を憶えさせられたんだが、それから二年目、十八だったといまでも
はっきり覚えているが、道具についてえらい恥をかいたのが肝に銘じて、それから根性が変わった。
えっ? なにね、仕事場へ行って、年寄に、
「すいませんが、ちょっと小ガンナを貸してもらえませんか」
ってったんだよ。そしたらその年寄りがね、ジロリと横目で流し眼に見て、なんとも言えない
笑い方をすると、小ガンナを渡して寄越しながら、
「ハイヨ、あると重宝だよ」
って言ったんだ。それだけだが、あたしゃ顔から火が出たね。受けとった小ガンナが、ジリッと
手に灼きついたような心持ちがして、しばら く顔もあげられなかった。
――あると重宝だよ・・・・・・。そう言った年寄りの皮肉を、それからあとも時々思い出しちゃア
舌を噛み切りたいような気のしたことがなんべんもあるね。その時の、まるで「女房を貸せ」
とでも言われたような、不愉快そうな、にがい、そしてあきらめてうすら笑いした年寄の目を
思い出すと、あたしは地ベタを転げまわりたいほど恥ずかしい気がしたもんだ。
私は
この箇所を何度も読み返していました。
そして 私も
腋の下に冷たい汗を流していました。
「昔ばなし」を読むと
昔の職人は「年季奉公」の中で
辛抱するということを覚え
親方や兄貴分の仕事を盗んで
一人前になって行ったことが
良く分かります。
私の祖父の経験を聞かされているような気持ちで
13人の職人の「昔ばなし」を読み終わりました。
あと14の職人の「昔ばなし」を聞くのが待ちどうしい。
そこにも
祖父の息吹を感じることでしょう。
そういえば
私の祖父の喜三郎も道具に大切にする人でした。
そして
律儀でした。
私の心の隅に潜んでいる律義さは
祖父の無償の愛から生まれたものだと
私は思っています。