ただの相談役 気まぐれブログ
職人が家を頼みに来る会社
倉敷茶屋町ユーリン・ホーム。
今日は午後からエルム撫川に
二人の娘を同道させて
母と逢いに行った来た。
撫川クリニックの先生によると
94歳の年相応に傷んでいるが
『健康体だ』ということだ。
血液検査の数値などを見ると
私より安定しているようだった。
ただ
私のことも二人の孫娘のことも
まったく記憶に無かった。
パーティ―の時に作ってもらった
私の動画を見せても無反応だった。
「オレの悪口を言わんから
ホンマにぼけてるんやろなぁ~」
あすこまで徹底的に身内のことを
『忘れられるのだ』と寂寥感に襲われた。
昼食を
ミスターバーグで食べた。
会話は途切れがちになり
二人の娘から出てくるものも
多くはため息だった。
午後からのそんな重苦しい気分を
瓦屋の越智さんが救ってくれた。
実家に松の樹皮を
持って来てくれたのだ。
昨年の中頃
屋根の檜皮葺(ひわだぶき)の
檜のことを尋ねたことがあった。
「ビカクシダを貼り付けて吊るす板に
屋根材の檜皮を使えないかと思って‥‥」
そのことを覚えていて下さったらしい。
「檜皮じゃあないんですが
今朝 浅野材木に行ったら
松の皮が置いてあったので
もらって来たんですよ」
松の皮にはダンゴムシがたかっていた。
それでもビカクシダを板付にすると
普通の板より見栄えの良いハンギングになる
松の樹皮だった。
同じことを
材木屋の営業に聞いたことがあった。
「すいません‥‥うちでは材木の皮は
扱っていませんので‥‥」
即答だった。
私は材木屋の取扱商品を
問いあわせたわけではない。
話はそれで終わってしまった。
「あいつは駄目だわ‥‥
オレだったらとことん探してから
結果を報告するけどな」
チヒロに腐したものだ。
ところが材木屋でもない越智さんが
気に掛けて下さっていた。
材木屋で見つけたと
松の樹皮を持って来て下さったのだ。
有償無償に関わらず
人はどれだけ人を
喜ばせることができるかで
『その人の値打ちが決まってくる』
と私は考えている。
心から喜ばしいことだった。
越智さんには只々感謝しかない。
また今日は朝に頼んでおいた
200×300のパーティクル・ボードの加工を
ダイゴが夕方までに仕上げてくれた。
これもビカクシダの
ハンギングに使用する板材だ。
ダイゴもまた
私を喜ばせてくれた。
ありがたいことだ。
「これを上に置いたら
小蝿が入らなくなるから
先に作ったオカズも気にしないで
次々にテーブルに置いておけるから‥‥」
夕食時
奥さんが100金で買ったという
蝿入らずを取り出して
嬉しそうに話しかけてきた。。
一番最初に出来た一品の皿の上に置くと
いっぱいいっぱいの大きさの
蝿入らずだった。
「100金じゃもんなぁ~
あと五つほど買(こ)うといたら
良かったかもしれんなぁ~」
私は笑いをこらえて
奥さんを慰めた。
「そうよ‥‥100金じゃもん」
奥さんもまた
常々私を喜ばせてくれる人だ。
可笑しくて目尻に
涙が滲むことも度々ある。
ありがたい伴侶を得たものだ。